自由帳

Ask perfection of a quite imperfect world.

19/9/2016: 何を伝えますか

久しぶりに書く。

特に何かが忙しかったとか、何かを勉強していたとか、これの存在を忘れていたとかではない。単純に面倒がっていただけである。確かに週末に某かの予定が入っていたことは多かったけれど、時間がないと言うほどではなかった。書くことがなかったってのが大きいか。

書くことなさ過ぎてそもそも人って何喋ってんだろということが気になってしまい、そういう角度で人の話を聞いていたりしていたが、大体皆さん他人のことを喋っている(サンプルは大体会社の人。尚、話のつまらない人は大概自分のことを喋っている)。

 

いやでも、他人のこと喋るのってムズくね?そいつが俺に見せてるのってそいつの一部だけじゃん?まず本音か否かってのもあるし、俺以外には全然違う関わり方をしているのかもしれないし。語っても大丈夫なレベルで俺はそいつの「正しいそいつ」を知ってるのか?ってか「正しいそいつ」って何だ。「あいつは○○な奴だ」ってそんな雑なカテゴリにいれていいのか?A「あいつはパリピだから」B「パリピとは仲良くできんわ~」←俺(「パリピ」って何だよ、そんな磨りガラスみたいな認識でええんか?)

そもそもそいつの「質」的なものを勝手に他の人に喋って良いんだっけ?思いもよらない知られたくないことってあったりするんじゃない?とか諸々出てくる訳。間違ってもええやんという向きもある、それは分かる、でも人物像を誤って伝えることって結構致命的な感じするけど。大体の人々は僕より柔軟なので結局実際会ったら全部リニューアルされそうだからいいのだろう。

晒す間合いにないし、自分のこと喋っても他人からしたら「ほーん」って感じだし、ということで大体事物や概念について喋るしかなくなるが、そんなに共通の事物や概念があるわけでもなく、かといって黙っていると何も考えない人間になってしまうので(「沈黙は金」なんてのは嘘だ。喋る機会、主張する機会を持たないと脳みそはどんどん考えることをサボってしまう、きっと)何とかひねり出すしかない。コミュニケーション、ムズカシイ。何を伝えれば良いんだ。

とかごちゃごちゃ書きましたが、もちろん日常は当たり障りのない話をしてなんとなく、ただなんとなく一切が流れていきます。ただ、人々の会話を聞く中でこっち方面に脳みそが割かれている人って割といるんじゃないのかね。 最近人生もただなんとなく流れてる感じがするので何とかせんといかん。

 

そう言えば今日はアニメ映画の『聲の形』を観てきた。物語の核心には触れず、特筆すべき描写に触れると言うこともなく、簡単な感想を認めるだけなので未見の方が読んでも大丈夫だとは思うが、書き始めるまでに念のため以下10行くらい空けておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

13行空いてしまった。

個人的に非常に好きな映画だった。比較対象として相応しいものではないが、同時期に公開され大ヒット中の『君の名は。』よりも数段良かった。『君の名は。』はつまるところ上等なエンターテインメントであり、その圧倒的エンターテインメント性と新海ファンへのオマケが評価のされどころと感じている。  こうは言うものの、『君の名は。』も僕は大好きです(これについては書く機を逸した印象がある。っていうか作品全体よりも「あのシーンが非常に画として美しくて感傷を誘った」とか、「あのシーンが過去作品のオマージュ(及び逆オマージュ)だ」みたいなそういう散文的なものになってしまいそうで書きにくい)。

聲の形』は、ここ最近触れたコンテンツ(アニメーション及び映像作品に限らず)の中でも、特筆して人と人との関わり方、自身の過去との向き合い方/責任の取り方、自己嫌悪との折り合いの付け方、についてそれぞれを連関させながら掘り下げた作品になっていると感じた。 予告にも顔を出しているアレとかソレとかの社会的テーマは確かに目を引くが、あくまでそれらは触媒であって、中心となって語られているテーマではないと思う。 その分重ための描写や、一筋縄ではいかない感情の発露を伴うシーンが多いので、そういう意味では観る人を選ぶかも知れない。(そういう感情の発露や些細な仕草、発言から登場人物の良いところ、悪いところ、何とも言えないところが沢山滲み出てて僕は好きなんですけどね!出てくる連中みんな好きだし大嫌い!)  更には音楽と美術も一級品(音楽にはちょくちょく仕掛けが施されていて感嘆した)。

特に人との関わり方については、他作品では往々にして異質な存在、主義主張を異とする存在との関わり方に焦点が当たるが、本作は同質なはずの「僕たち私たち」の中で生まれる亀裂とその不完全な再生を丁寧に描いており、ひたすら臨場感がある。その中で、自他の過去を全部肯定/否定するんじゃなくて、大人になる、成熟するということはどういう受け止め方が出来るようになることか?とか、自分自身が嫌いだったら、すべきことは何なのか?ということを真剣に問うていたように感じた。まさにThe Shape of Voiceだった。

ちなみにこれは完全な主観ですが、僕から見て才能も目標も矜恃もない高坂麗奈みたいなキャラが出てくるんですが最高です。現実世界じゃ絶対関わりたくないけど。主人公のヘタレポイントも的確で、共感できる箇所が多数。あと母親たちがそれぞれのやり方で本当に母親してた。それだけで泣きそうだった。そういうのに弱い。長々書いたが、中高時代に孤立とそこからの再生を経験した人々や、他人に陰口を叩かれているような気がしていた人々には(そうでない人にも)是非本作をお薦めしたい。ラストが本当に沁みる。

 

いい年こいてアニメ映画観に行って挙げ句レビューなんてしてる場合なんですかね。早く大人になりたい