自由帳

Ask perfection of a quite imperfect world.

15/04/2018: 『パシフィック・リム: アップライジング』が最高だった話

タイトル通り。『パシフィック・リム: アップライジング』がとても良かった、って言うか好きな映画だったので記憶が薄れないうちに乱筆でも感想を認めておこうと思います。特に筋の説明はしないし、ネタバレばかりなのでその辺は許して下さい。幾らか行を空けますので、観る予定のある人(居るのか?)はここでサヨウナラです。

 

 

 

 

 

 

 

本作の良かった所をパラパラと挙げるのであれば、

1.         前作とは異なるアグレッシヴなロボアクション

冒頭のちょこまかかわいく動くスクラッパー(小よく大を制するはジャポネの文化)、ビルを重力操作装置?でドンガラ倒したり、ジャンプで諸々をスレスレで回避したり、画面外からスライディングで登場したりとか。序盤で敵もイェーガーを使ってくるというところがもうそういう路線なんですねと切り替えられた。あのウルトラマンシャドーを彷彿とさせる所謂ニセモノ的デザインが本当にイケてる。これは前作もそうだけど2人のパイロットの動きがシンクロして必殺技を繰り出すところが格好良すぎる。リアルタイムの動きで操縦するならやっぱパイロットは2人だよ。抜刀の構え、スローモーションの回転斬り、右ストレートからの左アッパー!とか最高。決めポーズしてる暇があったら追い打ち掛けろって話だけど、それはロボ武士道に反する訳ですよ、ロボ武士道ってなんだ?

逆にここをどう見るかが前作と比較してどうか、ってポイントになるのだと思う。前作はゴジラ的特撮+鉄人28号マジンガーZと言った重厚で動きの質感が強いアクションだったが、本作は戦隊モノ的特撮+ガンダムエヴァンゲリオンと言ったスマートで軽快なアクションにシフトしている印象がある。僕はまあどっちも好きなので良いのだけど。

2.         見え見えの伏線から想定内と想定外を絶妙なバランスで繰り出す矢継ぎ早な展開

怪獣の目的地が富士山とか言い出したときは唐突すぎて笑わざるを得なかった。一応レアメタルとか言って伏線張ってたけど、んなもん他の所にも埋まってるでしょうに、サクラダイトでも堀り出すんか?また無人機は暴走するし試作品は大活躍するし本拠地は敵に強襲されるものと相場が決まっている。あと脱出ポッドが使えなくなるのもお約束だし、絶対最後はスクラッパーが助けに来ると思ってたよ俺は。だってあれはアマーラの誇りであり相棒であり希望だもの。最後にスクラッパーを駆る中国のお姉さん(ちゃんとリーウェンって名前があるけど敢えてこう呼びたい)がSo Sexy and Cool。あれはアマーラのあり得た将来像なのかもと思ったり、中国のお姉さんも昔は親父とバイク弄ってたのかなとか想像したり。

3.         イェーガーに仕込まれたギミック

ヴィクの砲台転回からのマッドマックス状態突入はガッツポーズしか出ない。ヒャッハー!それから男の子はメリケンサック型バルカンが好きだし、地面にちゃんと薬莢が落ちるのはもっと好きなんですね。あの辺は確かF91でもちゃんと映されてた記憶がある。あとEDでこれでもかとイェーガーを見せてくれたのは本当にありがとうございました)

4.         キャラクターの関係性(これは後述)

5.         イカした台詞と画面作り

ゴットリーブ博士の「『理論上は、』という言葉は———今日に限っては『使える』という意味だッ!」という本作最高台詞からの前作最強テーマソングを流しながらロボアニメのクライマックス入口標識であるところの最終決戦前の基地建て直し作業+急造機体の整備のシーン……最高か?「英雄は初めから英雄だったのではない!」というジェイクの激励からの富士山をバックに巨大ロボ4機が東京都心にヘリワイヤで空輸されるバカ画面……最高の2乗か?アマーラの「チャンスは1度しかないわよ!!!(いや今までのも全部そうでしょうよ)」からの大気圏突破、再突入、座標調整を挟んで流星パンチでKAIJUにトドメを刺す……なんだこれは)

6.         小粋なジョークを忘れない精神とちょっとした小ネタ(量産型エヴァまんまの無人機(アマーラの機体が喰われたりしたらどうしようと思った)、等身大ユニコーンからのアナハイム社看板とか。他もっとあったかもね)

と枚挙に暇がない。 

はい、各論になりすぎたしクソ読みにくいっすね。さて映画全体として見たとき、本作はヒロインであるアマーラ(CV: 早見沙織←個人的にここ大事!)の物語として捉えると視点が明快になると思う。(1)スクラップを集め、自分の作品としてスクラッパー(まんまやん……)を一人で作り上げ、(2)ジェイクという教官との出会いから師弟関係、疑似兄妹関係と関係性が深化していくことを通じて自らのトラウマを克服し、(3)他の訓練生、特に表層としては何から何まで対照的なヴィクとの友情を育み、(4)自ら臨時の代役パイロットを買って出て、スクラッパーの力を借りて勝利を手にする、と言った流れである。

最も重要なの当初トラウマのためにイェーガーに乗れなかったアマーラが、マコの死に直面したジェイクとの交感を通じて立ち直り、イェーガーに乗れるようになること。これを経て、2人の関係は単なる師弟関係を越え、戦争によって(自分に何とか出来たかも知れなかったのに)大切な人を目の前で失ったという経験を共にする特別な関係(マコとジェイクの関係性も踏まえ、疑似的な兄妹関係と私は捉えている)になる。お互いがお互いを信頼し、尊敬し合う、だけどアマーラはジェイクに心のどこかで甘えている(幼い頃に家族を亡くしたのだからそうだろう)し、ジェイクはアマーラを心の支えにしている、という関係性で在り最後の雪合戦のシーンはそれを象徴しているように感じた。尊いね……

脇道に逸れるが、前作の重要キャラクターであるマコの死をあのタイミングで入れることについては賛否があると思う。しかし、父親との関係に屈託を抱えるジェイクの自覚を促し、かつアマーラとの関係を強化し最後にKAIJUを打ち破るというプロットを考えると、良い選択だったのではないかと考えている。

んで!お待ちかね(?)のアマーラとヴィクの関係性ですよ。ジェイクとの関係だけではアマーラはここまで強くはなれなかった。身体の大きさから、訓練生に選ばれた経緯から、使う言葉から、名前の印象(Amalaには「女闘士」との意があるそう。Victoriaは言わずもがなの麗しいお名前)から、(勝ち気で気が短いところ以外は)色んな所が違う2人が衝突を経て盟友となっていく。ヴィクがアマーラを認めるのは、恐らくアマーラが真剣に戦おうとしている意思を確かに感じ取り、共に戦う仲間だと思うに至ったから、という点に尽きるだろう。(ヴィクの視点からして)ようわからん所で機械弄りなんかしてポロッと拾われてきたちんちくりんのアマーラなんかに負ける訳には行かないし、背負っているモノが違うという感情がある(推測に過ぎないがヴィクも戦争孤児なのだろう、だからこそ何度落第しても訓練生になろうと努力した。アマーラと関わっていく中で、そういったモノを背負っているのは自分だけではないと感じたのかも知れない。ジェイクとアマーラの逆パターン)。しかしアマーラは戦いに対しても、他の訓練生に対しても真摯に向き合い、実力があることも示し、心を閉ざしていたヴィクの信頼を勝ち取るに至った。わざわざロシア語で侮辱をするというのは、ヴィクに対して距離を置きロシア語で話すこともなかった他の訓練生との対比を考えれば、その片鱗だろう。そしてその信頼が先述の最高砲撃シーンで裏付けられる訳です(ロボアニメは、戦闘外の関係性構築が、切迫した戦闘の場で垣間見えるのが良いんですよね……)。尊いわ……

こう、伝わるかどうかは分からないけれど、『電磁戦隊メガレンジャー』における久保田博士や早川裕作と、高校生戦隊5人との間にある、親とも上司とも先生とも付かないような絶妙な信頼関係とか、高校生同士の衝突と和解といったものと似たようなエッセンスを感じた。

なんかまだ全然書き足りないのですが、もう眠いんで寝ます。続きはあるのか?