自由帳

Ask perfection of a quite imperfect world.

15/01/2018: 明けましておめでとうございます。突然ですが私は齋藤飛鳥さんリスペクトなので、彼女のブログに倣ってタイトルに可能な限りの文字数をぶち込むスタイルにしてみた次第です。明らかにこの間やってた特集の影響ですね(アレまだネットの何処かで観られるらしいっすよ)。正直、今までみたいに英語でサムい掛詞するのにもいい加減飽きてきたみたいなところもあって(ところで当該掛詞群に関して私の意図は皆様にどの程度伝わったのだろうか)変えてみたのですが、まあこれもその内飽きると思います。次どうしようかな?あとこ

まずは今週読んだ本たちの簡単で雑駁な感想。ツッコミ所は無限にあると思いますが温かく見守って下さい。

1.『いま世界の哲学者が考えていること』

「いまの思想家って何考えてんだろうね?」という疑問が友人達と行った旅行の最中に出て(どんな旅行だ)、その丁度翌日書店に行ったら平積みされていたので反射で買ったもの。

思っていた以上に読む価値のある本だと感じた。「そう言えばポストモダンってあのあとどうなったんだっけ?」にある程度答えてくれる。現在の哲学における諸問題と各思想家の立ち位置を簡単に整理し、その後はAI、バイオテクノロジー、資本主義、宗教、地球環境、とそれぞれのテーマに即して近年の著作を引用しながら論点を抽出している。ガイドや解説というよりは、むしろ地図に近い本で、これを使って実際の場所に赴いて自分で色々見て下さいねって感じのスタイル。ブックリストもある程度丁寧な解説を附しているのでありがたい。”The Future of Religion” は特に読んでみたいと思った。資本主義(政治経済)の節に関しては(私はまがいなりにも経済学士なので)既知の箇所も多く、その他の節に関しても多少齧った人なら知ってることも多いんだろうなと感じた(興味深い論点も多かったが。とりわけ宗教がグローバリゼーションの影響の中で今後どのように衝突を回避していくのかに関する理論的な考察等)ものの、頭の整理と問題意識の明確化には役に立った。ただ作者も留意している通り、本書では何らかの立場を取ることが入念に避けられており、この本を読むだけでは何も語れないのは事実。しかし、本書を通じて私が再認識したのは、哲学は徹底的にアクチュアルな営為であり、その心は、いま自分たちには何が起ころうとしているのか、どのような時代に生きているのか、を真摯に問うものだという点。具体的な対象から抽象的な対象まで、現代における学術研究、技術の進歩、政治経済における地殻変動、等々を背景として現代的なテーマを考察することは大雑把な表現ながら「役に立つ」し、現代に生きる者としてこれらと向き合うことは大なり小なり必要でしょう。あとまあ純粋に刺激的ではありますよね。余談ですが、筆力のある人がこういう本を真面目に読んだら面白いSFが書けるんだろうな~とも。

2.『なぜ世界は存在しないのか』

上記の本を買いに行った際「この本がもうすぐ出ますよ~」というビラを目にし、刺激的なタイトルに惹かれて、また「天才」と呼ばれる著者(マルクス・ガブリエル)の本はどんなもんなんでしょ、という助平心のために買った本。かようにしょうもない本の買い方ばかりをしているが、書店に行くと良いことがありますよねとは声を大にして言いたい。

刺激的なタイトルとは裏腹に、堅実な内容(それはそう)。「世界」「存在」「しない」を著者なりに定義付け、批判すべき対象として「形而上学」と「構築主義」を著者なりの理解として浚いつつ、タイトルの命題と、彼の主張する「新実在論」を論証する。まず良いところ。平明な文章で門外漢の私にも分かるように書かれており、かといって素人相手に誤魔化したような印象も受けなかったこと。私がかつてポストモダンを扱った書物を読んだときに覚えた違和感を、ある程度丁寧に解きほぐしてくれていること。著者が行った哲学的思考の足跡を読者が確実に辿ることが出来る構成になっていたこと。正確な表現かどうかは分からないが、「哲学を人間の近くに取り戻そう」という意思を感じたこと(これ、良い点かどうかは分かりませんが。読んで頂ければ伝わるかと思います)。一方で悪いところ。結論は総花的、悪く言えば批判対象とする「形而上学」と「構築主義」のいいとこ取りなところ(「中庸の徳」ということなのでしょうが)。やや形式論理に陥りがちなところ(それが故の議論の甘さというか釈然としなさ)。「世界は存在しない」という命題からポジティヴな命題を引き出そうとしているが(寧ろそっちが本題。テーマの命題の論証は前半戦で終わる)、今一つそれが明確でないこと。上記の本と続けて読んだせいかもしれないが、哲学をアクチュアルな領域に引き戻そうとする著者のメッセージが印象的であった(著者は再三、広大で茫漠とした「宇宙」と人間を対置することを批判しており、訳者あとがきではポストモダン劇場型政治の共犯関係が指摘されている)。

たまたま哲学の本が2冊となりましたが完全に偶然です。私は哲学のことを何も知りません。ただ、馴染みのない人でもある程度楽しんで読める本だとは思います。来週は『シルトの梯子』『御厨政治史学とは何か』あたりを読もうかと(相変わらず一貫性のない……)

 

ここからは最近観て印象的だったアニメの話を手短に。デビルマンは来週絶対観る。

『地球よりも遠い場所』:暫定首位。技術的側面は(素晴らしいのだが)さておき、プロットと登場人物のキャラクターが抜群にマッチしており、かつ今後の展開に期待させるストーリーになっている。あとまあ純粋に自分を変革しようともがき他者との交感を通じて共に成長していく少年少女の話はどう逆立ちしても素敵ですよね………

ポプテピピック』:つらい。何が辛いってナンセンスとおふざけをあのクオリティと熱量でやられたら、その二つしか戦略を持たない在野の人々はどうすれば良いのかと思う。弱者の戦略を強者が存分に活かしたな、と感じた次第。コンテンツとしてはとても好き。上坂すみれさんが歌う本物の(?)OPとか赤羽根Pと武内Pの劇中デュエット曲とかセンスフル。日髙のりこさん最強。あとは大御所枠でよこざわけい子に出て欲しいなぁ……

ヴァイオレット・エヴァーガーデン』:期待枠。まだわからん。絵は凄い(語彙力の欠乏)。でも例えばああいう方向に持って行かれたらちょっとね、という一抹の不安はある。どうでもいいが石川由依さんが想像以上に2Bだった。お上品だけどほんのり甘い声 ←多分に気持ち悪い表現だが他に見付からない(語彙力の欠乏その2)。

BEATLESS』:これも期待枠。同じくまだ分からん。なんかそのおふざけいる?的なのもあり。あと主人公だけ価値観ズレてる説明が欲しい。絵柄も柔らかめで、実は自分が期待しているような硬質な話ではないのでしょうか?一つ個人的に興味を惹かれたのが、レイシアとの契約の際「全責任は人間に帰する」旨を執拗なまでに確認した点。自分の話になるが、技術部門で仲良くしている上司と出張中に二人で長時間移動したことがあり、その際にした「機械(劇中の言葉を借りるなら道具)が人間を超越した際、人間に残された唯一の機能は責任を取ること、平たく言えばゴメンナサイすることくらいしかなくなってしまうのではないか、そうしたときに現代における刑罰とはどのような意味を持つのか」という会話を思い出した。上司は新し物好きで、事の発端は自動運転に関する話題であった。本作がこの問いに対して何らかの回答を提示してくれたら嬉しい。こんな謎の見方をしており制作陣には大変申し訳ないと思っている。

何か無駄に長くなりましたね。日記的要素も入れようかと思ったが分量を考えて来週に回そう。それでは。