自由帳

Ask perfection of a quite imperfect world.

23/06/2017: Ontology

更新頻度に余りにも秩序がない。

本日世間は華金だというのに、私は歯列矯正器具のワイヤーを締め直すために歯医者に行っていた。人々が忙しい時間帯ほど予約が空いているのは理の当然である。私は幸運にも歯列矯正によって歯が痛くなるのは定期的にワイヤー締め直す日に続く一日二日程度しかなかったのだが、歯科医にそれを伝えたところ、それはかなり珍しいことらしく「矯正をするために生まれてきたようなもんですよ~」との言を賜った。

私の生まれた理由をそんなことに押し込めないで欲しい。前々から彼のことは軽い男だと思っていたが、私の勘は外れてはいなかったようだ。施術は僅か15分で終わった。

こうして暇を持て余したということもあり、戯れに自分の過去記事を眺めていたが、全く以て後ろ向きな、湿っぽい記事しかないので勝手に気が滅入っていた。ただ自分の話を聞いて慰めてくれるだけの人に滔々と語っているような、自慰にも劣る文章。文章は思考を創り、思考は生活を創り、生活は人生を創るのだから、このままでは本当に湿っぽい人生になってしまう。それに自意識過剰かも知れないが、ここに何かを投稿するとそれを読んだと思しき人々が「文章にはその人の知性が云々」「これまでの人生で積み重ねたものが云々」というリアクションをしており、複雑な気分になる。経験則として悲観的な文章を書くとなんとなく内容があるように見えることがあるので、恐らくそれだけです。ロシア文学が高尚とか言われてるのもきっとそこら辺が多分にあるのでしょう(聞く人が聞いたら怒られるやつ)。

と、言う訳で、楽しいことを話しましょう。今回は普段に輪を掛けて長いのでご注意。

 

 

諸君、突然だが私は二宮飛鳥が大好きだ。

二宮飛鳥とは何者か?読みは「ニノミヤアスカ」。形式的に説明するとせば、彼女はソーシャルゲームアイドルマスターシンデレラガールズ」の登場人物であり、言うまでもなく架空の世界のアイドルである。なお、TVアニメ版には殆ど登場しない。この記事を読んでいる方に「アイドルマスターシンデレラガールズ」のことをご存じでない方がいるとは思えないので、ここの説明は割愛する。彼女の紹介に関しては彼女の言葉をそのまま引用するとしよう。

==============以下ドラマCD*からの引用============

僕の自己紹介か……アイドルとしての僕について、語るべき事って何だろうね?

名前は二宮飛鳥。14歳、中学二年生。静岡県出身。血液型はB型で、2月3日生まれの水瓶座。身長154cm、体重42kg。趣味はヘアアレンジ、ラジオを聴くこと、漫画を描くこと。

……こんな、在り来たりのプロフィール、聞いてて楽しいかい?

そう、僕は全く無価値な情報の羅列だと思うのだが……

===================引用終====================

*『THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 043二宮飛鳥』Track2. 目指せ!シンデレラNO.1! -二宮飛鳥編- (ドラマ) 所収

皆さん言いたいことは色々あるかと思われる。

繰り返すが、私の耳が狂っていない限り原文ママである。自己紹介以外の部分が最も自己紹介になっている好例だが、コミュニケーションとは得てしてそういうものである。

御託を述べる前に実物を見せろというのは仕事でもしばしば言われることであるので、続いて同じドラマCDの後半部分(約3分間)を引用する。ちなみに軽くgoogle検索を掛けてみたが、如何にインターネット広しと言えども、このCDの書き起こしをしている人間は見当たらなかった。そういう意味で私は第一人者であり、この世界に僅かながら何らかの意味をもたらした。あらゆる学びや救いは写経から始まるのであり、私はマニ車を回して良しとする人間ではない。

(弊註:ご存じでない方向けに説明すると、引用元の「目指せ!シンデレラNO.1!」というトラックは、各アイドルのシングルCDに、半ばオマケ半ばメインコンテンツとして収録されている音源である(BUMPのアルバムに入ってるアレみたいな?)。内容としてはデビュー間もないアイドルが「目指せ!シンデレラNO.1!」というラジオ番組に出演するという設定で展開されるドラマであり、以下引用部は、二宮飛鳥が自分の思い出に関して語るコーナーで、アイドルになってからの自分の変化を振り返るくだりである。ここで登場する『君』とはプロデューサーのことを指す。……リスニング問題の導入文章みたいになった。これを聴いて、以下の問いに答えよ。)

==============以下ドラマCDからの引用============

ん、アイドルを始めてからは何かあったかって?

フフ、それは君が一番知ってるんじゃないのかな。

僕の口から語ることに意味がある、か。自分語りって好きじゃないんだけどな。

君がそう言うなら、まあ、いいか。

(キャラソンのピアノアレンジ版がBGMとして流れる)

そうだな、アイドルになってから分かったことが三つある。

一つ目。自分は本当に狭い世界で生きていたってこと。

周囲の人間なんてつまらない、自分よりも愚かだ、なんて思い上がりを持っていたよ。それこそ愚かな考えだって気付かずに、ね。

二つ目。自分は特別なんかじゃなかったってこと。

今は優れた人間が周りに沢山いるからね。いや、それだけじゃないか。誰かに「特別な人間だ」って言って貰えて初めて、人は特別になれる。そう、思ったんだ。

三つ目。自分の心の内を曝け出すことは、そんなに嫌じゃないってこと。

こんなに自分の事を誰かに教えるなんて、今までじゃ考えられなかったよ、フフ。

ちょっと、喋りすぎたみたいだ。

(持参したタンブラーでコーヒーを啜る音)

ああ、それと、コーヒーは少しミルクと砂糖を入れた方が美味しいってことも、かな。

え、それじゃ四つだって?フフ。

それは「お約束」ってやつだよ。フフフ。

(BGMが感傷的なピアノの旋律に変わる)

全部さ、君がここに僕を連れて来てくれたからなんだよ。

僕の世界がこんなにも、輝き出したのは。プロデューサー、ありがとう。

ああ、気持ちが良いね。心に翼が生えたようだよ。

===================引用終====================

 

 

如何でしたでしょうか。何とも思わなかった方はお互いのためにもここで読むのを止めて頂いた方がよいかと思います。

 

いやもう私はこれでイチコロでしたね。つらつら述べていたら無限に続くので端的に言うと、シニカルに捻くれているようで、芯はとても素直でポジティブなところがいい。自分の個性を大事にしつつ他人への敬意を忘れないところとか、過去の自分をしっかりと見据えながら未来に向けて自分を革めて踏み出そうとしているところとかも……(註:一部本引用からは読み取れないところがあります)

過去にいわゆる「中二病」を患った人々としては少し耳の痛いところもあろうが、何かそういうのを乗り越えて非常にバランスの取れた性格になっている感じがして、かくありたいと思うところであります。あと、どうでもいいですがキャラソン(『共鳴世界の存在論』)とカバー曲(ゲーム版シュタゲのOP曲『スカイクラッドの観測者』)が個人的に好みなので暇があったら聴いて下さい。

架空存在について紹介する文章であるのに、その画像を添付するのをすっかり忘れていた。しかしそれは大した問題ではないと思う。架空存在の見た目は大体麗しいし、麗しいこと自体に特に意味はない。そこで差別化がなされない以上、結局架空存在においても最後はメンタリティがモノを言うんだと、私は考えている。架空存在に過ぎない絵に宿す魂を、実在の人間がどう作り込んでいるかを自分としては大事にしていきたいし、そういうことに想像力の及ぶ人間でありたいと思う。それにこれは別に何と向き合うときでも一緒だろうと信じている。まあ、とか言って二宮飛鳥のキャラデザインや声も結構好きなんですけどね。